2026.02.03
省エネ健康住宅を体感する(続編)

「谷地の住宅」は、建主さんが住み始めてから2シーズン目の冬を迎えています。
久しぶりにお宅を訪ね、薪ストーブの火にあたりながら、雪化粧した田園風景を眺めつつ、この住まいでの冬の暮らしについてゆっくりとお話を伺うことができました。
この住宅は、山形県が推進する「やまがた省エネ健康住宅(等級:Y-G3)」の断熱性能を備えています。
実際に暮らしてみて感じる快適性についてお聞きすると、薪ストーブがもたらす輻射による身体で感じるやわらかな暖かさと、壁面などに蓄えられた熱が逃げにくい高い断熱性能によって、一日を通してとても快適に過ごされているとのことでした。
今回の訪問では、体感だけでなく数値的な検証も行いました。
温湿度計による温度分布データの確認と、表面放射温度計を用いてリビング空間の床・壁・天井の温度測定を実施しています。
温度分布のデータは、朝の冷え込みが厳しかった1月24日をピックアップしました。(下図参照)

薪ストーブのあるリビングでは、就寝前に暖房を止めたあとも朝まで暖かい室温を保ち、午前10時頃から薪を少しずつ足しながら夜まで快適に過ごされていました。
一方、暖房のない玄関前の廊下でも、夜間の外気温が−7.1℃まで下がったときでも室温は14℃を下回ることがなく、一日を通して寒さをほとんど感じないとのことでした。
また、訪問当日のリビングの床壁天井の温度測定結果は以下の結果でした。
・リビングの室温(一般部) 21.8℃
・リビング床の表面温度(一般部) 21.1℃
・リビング壁の表面温度(薪ストーブ正面) 23.6℃
・リビング壁の表面温度(一般部) 22.1℃
・リビング天井の表面温度(一般部) 23.9℃
室温と床・壁・天井の表面温度の差が小さいことが、この住まいの心地よい暖かさにつながっていることがよく分かります。空気だけではなく、空間全体が穏やかに温まっている状態です。

この住宅で目指したのは、断熱性能を高めることとオープンな空間構成を組み合わせながら、「風景と適度な距離感を保ちつつ、雪国の寒い冬でものびやかに暮らせる山形らしい住まい」をつくることでした。
訪問の一週間ほど前、早朝のリビングから南に広がる雪景色の田園に、キジが姿を現したそうです。
その光景をご夫婦で眺めたという話を伺いながら、この住まいが目指してきた暮らしの姿に少し近づけたのではないかと、静かな喜びを感じた冬の訪問となりました。