布施剛臣建築設計事務所布施剛臣建築設計事務所

2022.10.26

ブルーボトルコーヒー

築100年を超える伝統的な町屋をカフェとしてリノベートした物件の視察として、南禅寺の参道沿いにある「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」を訪れました。
重厚な柱や梁が整然と組まれた美しい骨組みや荒々しいながらも趣深く剥き出しになった土壁などの京町屋の風情溢れる空間を残しつつ、そこにブルーボトルコーヒーとしての新たな価値観を加え、二つが融合した独特の様式美や空間美が表現されたお店でした。

スキーマ建築計画社が提案する「接客される側と接客する側」や「内と外」のフラットな関係をつくるため、中庭に敷かれている砂利を屋外にとどめずに屋内にも広げるべく、屋外に使用されている砂利を取り込んだテラゾーを床やカウンター、ベンチなどに同一素材で使用することで、心地良い一体感が生み出されていました。
視察後には最寄りの南禅寺にある小堀遠州の作庭「方丈庭園」にも立ち寄ることができ、学びの多い一日となりました。

2022.10.14

四季のゆらぎを感じる住まい

2020年に竣工し東北では数少ないパッシブハウス認定を受けている、仙台市にある「上杉の家」を見学してきました。

この建物の設計者は、かつて山形の組織設計事務所で切磋琢磨させてもらい、現在は仙台を中心として大活躍されている菊池佳晴建築設計事務所の菊池さんです。

断熱性能による「居心地の良さ」と様々なアイディアによる「空間デザイン」の両立という設計テーマに沿って、菊池さんに説明を受けながら建物を回らせてもらいました。

この建物の冬の温熱環境としては、外気温が0℃前後になっても仙台は日射量が多いため、日射取得熱とUA値0.24の断熱性能、さらには環境建築への様々な取り組みによりほぼ無暖房で暖かく過ごせている、とのことでした。

自然の日射や風を取り込んで林の中にいるかのような庭の木々に四季のゆらぎを感じながら、細部までデザインされた空間で暮らす豊かな住まいの姿がとても印象的でした。
秋晴れの昼下がりに、見学を通して新たな刺激と心地良い時間をいただいてきました。

2022.10.08

風土に根ざした東北の未来

 

 

2022年度第43回東北建築賞の作品発表会がZoomミーティングによるオンラインで行われ、作品応募者の一人として昨年に続き今年も発表をさせてもらいました。

この賞は、建築と地域社会との交流の推進、建築関係者の研鑽、並びに東北地方の地域特性に立脚した建築作品の探求を目的に創設されたものです。

7分のプレゼンテーションと1分の質疑応答という発表形式のなか、応募総数31作品による熱気のある発表会となりました。その中で山形県内の建物も4作品ありました。

全国各地で活躍しているすばらしい設計者の方々や同じ山形で活躍されている設計者の方々の、建築にかける想いをオンライン越しに聞き取りながら、風土に根ざした東北の未来を築くために求められる建築の考え・デザイン・環境への取組み等について、様々な学びが得られた発表会となりました。

2022.09.15

稲穂の実る風景

少しずつ秋の気配を感じるなか、敷地のすぐ南面に豊かな田園風景と山々の綺麗な稜線が広がる場所において計画がスタートしました。

古くから建ち並ぶ集落の一角をなすこの土地の文脈のリサーチに始まり、建物の主軸となるテーマ探し、ボリュームの切り出し、ラフプランの立案など、オープンデスクで来てくれている学生の方にも手伝ってもらい楽しくデスカッションをしながら、少しずつアイディアを前に進めています。

山形の原風景のようなこのロケーションを最大限に生かした魅力的な計画ができればと考えています。

2022.08.25

円応寺町の住宅・「Works」更新

今年の4月に竣工した「円応寺町の住宅」を「Works」に追加しました。

計画地は西側の「にぎやかな大通り」と東側の「昔ながらの住宅が点在する路地」に挟まれた、南北方向に奥行きの浅い街中の敷地です。

街のにぎわいがあちらこちらから差し迫るなか、敷地内に「マチニワ」や「ウチニワ」などの余白を差し込んで街と適度な「間」をつくりながら、東西方向にのびやかな空間の広がりをもたせたコンパクトで心地良い2階建てワンルーム空間の住宅をつくりました。

垂木表しの「軒」、下階の庇となり上階床が外へと延長した水平ラインをなす「パーゴラ」、緑豊かな「庭・家庭菜園」などを設けることで、各階で地面や屋根とのつながりを保った接地性のある住まいを市街地において実現しています。

年月が経つにつれ、この建物が地域の街並みを彩るひとつになり、新旧が混ざり合うこの場所で地域とのつながりを少しでも保つ役割を果たせればと思います。

2022.07.05

標高 880mの営みをつなぐ

標高880mにある雄大な自然に囲まれた場所で開湯1,900年の歴史を持つ山岳観光地において、改修計画がスタートしました。

本計画はコロナ禍で影響を受けた観光地の回復を目指し、建物単体ではなく当該エリア一体で取り組む企画に対して支援を行う、観光庁の「高付加価値化事業」の一つとなります。

一年を通して多くの観光客が訪れるこの地において、沢山の魅力ある資源を最大限に引き出しながら、次の時代につながるような活力ある改修の提案ができればと考えています。

2022.06.29

アジェンダやまがた・「Works」更新

昨年の11月に竣工した障がい児通所支援施設「アジェンダやまがた」を「Works」に追加しました。

コンバージョンを行い移転リニューアルした施設は約半年が過ぎ、現在は児童・スタッフの方々がお互いに生き生きと活動しながら、日々音楽を通した療育支援が行なわれています。

昭和50年代の既存建物に新たな息吹が吹き込まれ、人がリニューアルした建物から音楽支援活動へのさらなる活力をもらう中で、「音楽を通して地域を明るくする」という当初の計画目的がいつか実現されることを期待しています。

2022.06.04

経年美化を目指して

「小白川町の住宅」は外構完成から約1年が経ち、4月に行なった住まいの1年検査の内容を踏まえ、本日は建主さんや有志の方と一緒に屋久島杉の板塀の清掃・メンテナンスを行いました。

道路に面する南側の板塀は埃などが付着した黒ずみ汚れがだいぶ目立っていたので、AUROの天然成分の洗剤を使って以下の手順で清掃しました。

1.事前準備として板塀全体を水で濡らす
2.洗剤を使って板の繊維に沿ってブラシで黒ずみ汚れをやさしく落とす
3.板塀全体をきれいな水ですすいで乾燥させる

一般的に建物は年数が経つと少しずつ経年劣化していくと言われますが、洗浄・乾燥の手入れを行なった板塀は天然素材ならではの味わい・深みのある新たな美しさが出てきたように感じました。
そして何よりメンテナンスフリーではなくあえて自らの手を加えてメンテナンスを楽しむことで、建主さんをはじめ今回作業に参加した私たちにこの建物に対するこれまで以上の愛着が湧いてきたように思えます。

最後に軒下のテラスでスタートした作業終わりの一杯を含め、今日は設計という仕事に対する充実感と幸せを感じた1日となりました。