布施剛臣建築設計事務所布施剛臣建築設計事務所

2023.09.20

河北町聖地巡礼

「谷地の住宅」の打合せ後、辺りを見渡すと少しずつ稲刈りが始まる気持ちの良い秋晴れの空の下、敷地周辺の集落や町内の名所「旧堀込邸(紅花資料館)」の街歩き・フィールドワークを行いました。

今回の敷地周辺の集落を歩いてみると、先祖代々から引き継いだ敷地内で建替えや改修などを加えながら住み続けている住宅が数多く残っていました。
これらの住宅の特徴としては、奥行きが長く広い敷地・表門や板塀などによるしっかりとした屋敷構え・地域特有の冬の北西からの吹込みを抑えた東面からの玄関アプローチ・趣のある前庭や中庭・農家としての以前の生活様式が伺える別棟の小屋、などがありました。

次に、河北町西部地区の集落の一角にある「旧堀込邸」を久しぶりに訪れました。
ここは河北町のプロジェクトがあるたびに毎回訪れ、最上川舟運によって栄えたこの町の生活様式や空気感を感じるのできる、個人的に河北町の設計における「聖地」のような場所です。
広い敷地内には長屋門・座敷蔵・武者蔵・収納蔵・庭などが当時の生活のストーリーに沿って点在していて、一つの小さな集落・まちがあるかのような、豊かな佇まいをつくっています。

当時の一般の家と豪農であった堀込邸では規模の違いはあれども、米と紅花で栄えた河北町の生活様式や風土を知る上で参考になるもの・感じるものが沢山あった、充実した街歩きとなりました。