2025.05.15
豊かさは窓の向こうからやってくる
当事務所の和室5.5畳の打合せスペースの南側に面した窓の先に広がる前庭では、藤の花が満開を迎えています。
淡くやさしい紫の花房が、春の風にたおやかに揺れている姿は、ふとした瞬間に心をほどいてくれるような美しさがあります。
この藤は、数年前に足利フラワーパークで手に入れたもので、枝が枯れてしまった古木のキャラに巻きつけるかたちで植えたものです。
今では堂々とした存在感を放ちながら、打合せに訪れる人たちの目を楽しませてくれています。
この打合せスペースには特別な装飾はなく、テーブルと椅子が並ぶだけの簡素なつくりです。 それでもここに座っていると、不思議と心が落ち着いていくのを常日頃から感じています。
窓の外から差し込む光、通り抜ける風、草木の匂い、鳥のさえずり、葉のこすれる音。
こうした外の世界が、まるでこの小さな和室にすっとダイレクトに溶け込んでくるような、そんな距離感があるからなのかもしれません。
暮らしの中の豊かさは、いつも外部からやってくる。
改めてそう思わせてくれた、藤の花咲く春の日のひとときでした。