最上高湯善七乃湯
- 用途
- 温泉旅館
- 所在地
- 山形市
- 構造
- RC造(一部木造)
- 階数
- 3階建て
- 竣工年月
- 2023年5月
- 施工
- 株式会社市村工務店
- 備考
- 観光地再生高付加価値化補助金事業
蔵王の風景を引き寄せる
最上高湯善七乃湯は蔵王温泉で約300年続く老舗旅館です。当旅館の温泉は、1900年前から続く乳白色で強酸性の温泉が自噴で湧き出ていて、100%の源泉掛け流しが特徴となっています。
今回の計画は、源泉掛け流しの温泉を生かし、既存の男女の内湯から続く隣り合った各々の露天風呂を一つにして家族や友人と「湯浴み着を着て入浴を楽しめる露天風呂」へリニューアルすること、現在4つある離れの貸切露天風呂の間の空いたスペースに「石切り露天風呂」と「サウナ露天風呂」を新たに設けること、この3つの露天風呂の改修が主な内容です。
「湯浴み着を着て入浴する露天風呂」は、柱を立て替えて既存の屋根を残しながら、北側にある渓流や雑木林に開かれた向きに湯船を配置した、半分が屋根のある露天風呂となっています。男女の内湯から露天風呂へと向かうアプローチは板塀を新たに設けて誘導しながら、露天風呂へ辿り着くと一気に蔵王の大自然の景色が目の前に広がる計画としました。
湯船の一角にある石張りの背もたれで造られた寝湯ゾーンや湯船から上がって休めるベンチなども設け、各々が温泉と四季折々の自然をゆったりと楽しむことのできるスペースとなっています。
「石切り露天風呂」は、くり抜いた石を湯船として中心に据え、周囲の目隠しや貸切露天風呂の入り口ゲートにも周辺にあった既存の石や岩を塀や間仕切りとして活用し、岩と自然に囲われた計画としました。
「サウナ露天風呂」は、ヒノキの樽型サウナを景色が眺められる向きに配置し、水風呂・空気浴のスペースなども両脇に設けながら、心身を整える所作を大自然の中で堪能できるスペースとなっています。