布施剛臣建築設計事務所布施剛臣建築設計事務所

2024.11.28

深山荘高見屋・「Works」更新

昨年の12月に竣工した「深山荘高見屋」の客室リノベーションを「Works」に追加しました。

今回の改修計画は、蔵王温泉街を一体とした観光地の再生補助金事業の中の一つとして、創業300年の歴史をもつ当旅館では老朽化や利用率が低くなっている部屋に焦点を当て、新たな客層のニーズを取り込んでさらなる魅力や付加価値を作り出すことを目指しました。

ピックアップした各々の客室には、当旅館の持つ伝統的な趣きを継承しながらも、趣味を楽しむ茶室やワーケーションにも利用できるデスクカウンタースペースを加えることで、ゆったりとした自分だけの時間を過ごせるような、滞在型の客室空間として新たに整備を行いました。

2024.11.01

コンバージョンが地域に広がる

山形市木の実町で音楽の楽しさを通した療育活動を行なってきた障がい児通所支援施設「アジェンダやまがた」は、2021年11月に旧大風印刷事務所の既存建物を用途変更して山形市あこや町に移転してきました。

地域の建築ストックをコンバージョンし音楽を通して地域を明るくしていくことを目指したこの施設は、現在リニューアルオープンから3年が経ち、オープン当時70名だった登録利用者は100名を越え、毎日子供たちの明るい声が響いています。

登録利用者数が増え、事業や活動が拡大していく中で、また縁あって現在の施設に隣接する旧ガッタハウスをお借りして第二期のコンバージョン計画が始まることとなりました。

音楽を通した療育活動の場であるとともに、児童・スタッフみんなが元気の湧いてくる居心地の良い「第二の我が家」のような場所をまたつくられたらと考えています。

2024.10.16

谷地の住宅・オープンハウスのご案内

辺りでは稲刈りが次々と始まり秋の深まりを感じるなか、目の前に広がる田園風景や先祖から続くこの土地の想いを新たなかたちで継承していくことを目指した「谷地の住宅」が、関係者のご尽力によりまもなく完成を迎えます。

そこで、引渡しを前に建て主さんのご厚意により完成内覧会を開催することとなりました。

詳細は以下の通りとなりますので、新しいお住まいをお考えの方・家づくりや建物に興味のある方など、お気軽に申し込みの上どうぞご見学にお越し下さい。

日時:2024年11月16日(土)  13時〜16時、2024年11月17日(日)  10時〜16時
場所:河北町谷地(場所や駐車場の詳細は申込の方へ別途ご案内します)
申込先:info@ takeomifuse.jp
申込方法:メールにて氏名・連絡先・希望日時を明記の上、お申し込み下さい。

なお、引渡し前の開催となるため、以下の注意事項を守った上での予約制による見学会とさせて頂きますので、ご理解の方を宜しくお願いします。
・敷地内の既存住宅には建て主さんが住んでいます。そちらの玄関には入らないで下さい。
・見学時には備え付けの手袋(使い切り)・スリッパを着用して頂きます。
・敷地内での飲食・喫煙・トイレ等の使用は不可となります。

2024.09.06

やまがた省エネ健康住宅Y-G3

現在工事が進行中の「谷地の住宅」はやまがた省エネ健康住宅の設計認証申請を行い、県の審査を経て断熱レベルの最上位にあたるY-G3(UA値0.23W/㎡K以下)の認定を受けています。

本日は村山総合支庁の検査員の方から断熱工事の中間検査を受け、現場の各所の施工状況が適正に行われているかを確認してもらいました。

当物件の断熱工事は熟練の専門業者を入れて気密シートの取合部のテープ張りなどの細部までを丁寧に施工してもらったこともあり、無事に検査合格の承認を受けることができました。

断熱性能を高めることとオープンなプランを組み合わせて当初から目指してきたものは、「軒による外との適度な距離感を保ちながら、雪国の寒い冬でも縮こまることなくのびやかで開放的に過ごせる山形ならではの住まいのあり方」です。

いろいろな立場の方々の施工やチェックによって、目指してきた住まいの実現に向けて一歩ずつ前に進んでいることを実感することができました。

2024.09.05

書をみて心洗われる

現在業務依頼をいただいている建主さんが講師を務める書道講座の作品展にお誘いをもらい、会場となる山形市上桜田の悠創の丘まで展覧会の鑑賞に行ってきました。

会場に入るとそれぞれの作品には、「文字としての形の美」や「筆や墨の使い方によって生まれる濃淡・潤渇・抑揚といった書独自の表現」・「筆を通した書き手の想い」などが表れていて、文字を越えた書という独特の芸術としての素晴らしさを味わうことができました。

書を鑑賞することにひたすら没頭しながら、次第に心が洗われていくような心地よいひとときを過ごすことができました。

2024.07.23

風土に根ざした木架構デザイン

「谷地の住宅」は木造の架構が組み上がり、建物のシルエットが緑豊かな田園風景の中に少しずつ浮かび上がってきました。

この住宅は河北の周辺環境や風土を踏まえ、各階に設けた勾配の異なる2枚の切妻屋根で2階建ての建物を各層で分割して全体のボリュームを抑えた構成としています。

これらの形の原型となるキレイな木架構を少し離れた場所から眺めながら、スケール感や集落とのバランスを確認することができました。

玄関ポーチの大屋根を支えている鉄骨の丸柱は、ポーチの先に続く庭先のプロムナードや田園風景への軽快な抜けをさらに引き出してくれています。

2階のアトリエスペース・吹抜け空間は屋根形状がそのまま反映された勾配天井として、南東面に広がるのどかな風景を眺めながらゆったりとできる場所となります。
登り梁の間に大入れ加工によって細かいピッチで落とし込まれた垂木の連なる姿にも満足しています。

2024.05.30

身近な保育施設に学ぶ

山形市のこども施設の建替えプロジェクトは3月から基本設計がスタートしています。
この段階で2日間に渡り、建主となる施設関係者の方々と他の保育施設の視察見学会を行いました。

ピックアップしたのは山形市木の実町にある「木の実保育園」と山形市小白川町にある「むつみ保育園」。
この2施設は前の会社で担当の上司の方や若手スタッフ数人と一緒になって力を合わせながら設計に携わった施設で、園児たちが元気に楽しく駆け回っている姿や建物との久しぶりの再会に個人的な喜びもありました。

二日間の視察において、現場を回りながら各施設の園長先生から直接説明をいただいた「保育園の保育方針や各所の使い勝手の感想」は、一つ一つが設計者・施設関係者の双方の心にとても響き、何にも替えがたい生きた設計教材でした。

保育の現場を見たことで、これまでの打合せだけでは踏み込めなかった新園舎へのイメージや図面へのリアリティがさらに生まれ、今後の設計に向けて実りの多い見学会となりました。

2024.05.21

水田に浮かぶ集落の風景

「谷地の住宅」はいよいよ工事がスタートしています。
今日は現場打合せや縄張り検査があり、夕方帰る際に偶然にも素晴らしい景色を見ることができました。

田植えを前に水張りを行っている建主さんの水田に、谷地の当該地区の夕焼けの風景がキレイに映し出されていたのです。
目の前に広がる景色・敷地を通り抜ける爽やかな風・水田に佇むカルガモ、感じるもの全てがとても心地好く、一人感動を覚えました。

思い返せば、昨年の七月に設計依頼を受けて敷地を見た時、この土地が持つ素晴らしい「場の力」や「敷地のポテンシャル」をさらに引き出せる建物にしたいと考え、その想いに沿って今ここに至っています。

夕暮れの景色に心洗われ、大切にしていた当初の想いに改めて触れることができ、一日の終わりに現場から素晴らしいお土産をもらってきました。